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業務委託契約書とは自社で行う業務の一部を他の企業や個人に委託する際に作成する契約書のことです。
仕事の一部を他の企業や個人に委託するケースは多いことでしょう。たとえば、事務作業のような定型業務を他の企業に委託することで、自社本来の業務に取り組む時間をより多く確保することができます。また、専門的知識を必要とする業務を委託することで、時間をかけずにその知識の活用もできるのです。
その際に作成されるのが業務委託契約書となります。しかし、業務委託契約書の作成には注意しなければならない点がいくつかあります。業務委託契約書という名前は同じでも、内容が異なるケースがあるからです。
ケースによっては委託した業務について思わぬトラブルが生じることさえあります。そこで、ここでは業務委託契約書について内容と作成の注意点を解説いたします。
業務委託契約書には次の3種類があります。
請負型と委任型では契約の目的が異なります。その違いが端的に現れるのが報酬支払いの条件です。請負型は仕事を完成させ、その成果物を委託者に引き渡すことで報酬を得ます。仕事が完成していなければ報酬の支払いは発生しません。代表的なものは建設業です。また、コンピューターソフトのシステム開発などもこの範疇に入ります。
一方、委任型(もしくは準委任型)では仕事の成果は問われません。こちらはあくまでも委任された仕事を遂行していくことが目的であり、その仕事の結果が委任者の意に満たなくても報酬の請求ができるのです。たとえば、外部講師を招いて企業内研修を行った場合に、その後の企業活動にその研修による成果がでなくてもその外部講師には報酬を支払う必要があります。
なお、委任型には仕事の成果に対する報酬(成功報酬)の仕組みを取り入れた契約があります。この場合には、仕事の成果が上がらなければ報酬は支払われません。請負型との違いは債務不履行責任の有無です。請負型では仕事の完成が要件となります。受任者は仕事を完成させることができなければ債務不履行責任を負う可能性があるのです。
しかし、委任型の場合、求められるのは誠実に仕事を行ったか否かという点です。これは善管注意義務と呼ばれ、受任者が行う業務内容について通常期待される程度の注意義務をもって業務を行なったのか否かで判断されます。その結果、善管注意義務に違反していなければ、たとえ仕事が不首尾に終わったとしても、受任者は債務不履行責任を負うことはありません。
業務委託契約書を作成する際の注意点として次のものがあげられます。
業務委託契約書は大別して請負型と委任型の2種類に分けられます。仕事の成果を目的とするのか、依頼した業務を誠実に行ってもらうのか、この点が明確になっていないと報酬の支払い時期についてトラブルになるおそれがあります。
同様に委託する業務の内容も明確にすることが必要です。業務内容があいまいな場合、委託者、受任者の双方で仕事の範囲について認識が違ってくる可能性があります。その結果、両者の間でトラブルが生じるおそれがあるからです。
業務委託契約が雇用契約とみなされると罰則の対象となる可能性があります。
業務委託契約は雇用契約ではありません。業務委託契約は社内で行う業務の一部を外部事業者に委託する契約です。一方、雇用契約は自社の社員との間で結ばれる契約となります。
両者の大きな違いは業務を行なう者に対する指揮監督権の有無です。雇用契約を結んだ社員は企業の指揮監督のもとで業務を行ないます。一方、業務委託契約の場合、委託企業に指揮監督権はありません。業務委託契約の受任者は請負、委任を問わず、自己の裁量で仕事を進めることができるとされているからです。請負の場合は納期がありますが、その期間内に仕事を終わらせることができればよく、委託企業の指示を受けることはありません。
業務委託契約と雇用契約の違いは契約書の内容によって判断されます。たとえ契約書の標題が業務委託契約書となっていても、記載内容によっては雇用契約とみなされる可能性があります。たとえば、委託された業務について委託先からの指示を受ける文言が入っていたり、拘束時間が決められていたりすると、法律違反として罰則の対象となる可能性があるのです。
業務委託契約では、契約を解除する際のルールを明確にする必要があります。
民法では請負型の業務委託契約については、仕事が完成する前であれば委託者は受託者に損害を賠償して契約を解除することができるとされています。一方、委任型の場合、委託者はいつでも契約を解除することができます。しかし、解除が受託者の不利になる時期に行われた場合には委託者は受託者の損害を賠償しなければなりません。
民法の規定では、中途で契約を解除する場合には委託企業が損害賠償をしなければならない可能性があるのです。
しかし、これらの規定は任意契約なので、契約書で変えることができます。そのため、どのような形が双方にとって望ましいのか、中途で契約を解除する際のルールについて明確にしておくことが必要です。
受託者が委託された業務を再委託する場合には、その条件について事前に委託者との間で取り決めを行う必要があります。
再委託とは受託者が委託された業務を別の者に委託して行わせることをいいます。業務によっては、再委託をすることで受託者の能力以上の成果をあげることが期待される一方、再委託先の能力の見極めが難しく、仕事の質の低下や委託企業の秘密情報が漏洩するリスクをはらんだ契約形態です。
また、民法では請負型の場合には、受託者が再委託をすることが認められています。この場合、仕事の完成が目的なので、再委託をする先は自由に決めることができるとされています。
これに対して、委任型の場合には委託者の許諾もしくはやむをえないときに限って再委託が認められています。受託者が自由に再委託先を決めることはできません。
再委託については、このような性格があります。
委託企業にとってはメリットもありますが、先述したリスクも考えられます。ただし、再委託は民法上、任意規定なので契約で再委託の内容を制限する条項を定めることが可能です。そのため、業務委託契約書には再委託を認める場合の条件について明確にしておくことが必要です。
業務委託契約書には大別して請負型と委任型という2つの性格があり、それぞれの目的に応じた契約書を作成することが必要です。
当事務所では業務委託契約書の作成をサポートしております。業務委託契約書の作成をご検討中の皆様、ご相談ご依頼をお待ちしております。
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