〒143-0016 東京都大田区大森北3丁目32-12

初回無料相談受付中
営業時間:9:00~18:00
休業日 :土曜・日曜・祝日

お見積り依頼やご相談はお気軽に

03-5762-0018

知っておきたい遺産分割協議の基礎知識

相続手続きを行ううえで重要なのは、なくなった親(被相続人)の財産の帰属先を決めることです。相続財産の帰属先が決まれば、後の手続きは比較的スムースに行うことができるからです。

相続財産の帰属先を決める手段としてもっともよいのは遺言状です。遺言状は被相続人の意思を反映している文書ですから、遺留分などの制限がない限り、記載通りに相続財産が分割されます。

しかし、遺言状がない場合には、相続人同士で相続財産の帰属先を決めなければなりません。この話し合いを遺産分割協議と呼びます。

ここでは遺産分割協議について、必要性と協議の手順さらに注意点について解説します。

遺産分割協議がなぜ必要なのか

遺産分割協議が必要な理由は次の2つです。

  • 後日、発生する可能性のある紛争を防ぐため
  • 相続手続きをスムースに行うため
  • 1
    後日、発生するおそれのある紛争を防ぐため

遺産分割協議が必要な理由の1つは、被相続人の財産の帰属先を定めることで、後日発生する可能性のある紛争を防ぐためです。

なくなった被相続人の財産は、相続人の共有財産となります。たとえば、被相続人の財産が不動産であった場合には、相続人全員がその不動産を利用する権利を持つわけです。

しかし、その不動産を売却する場合、相続人全員の一致が必要となります。そのため、相続人の人数が多ければ、不動産を売却する必要がでてきた場合、話し合いがうまくいかず紛争が生じるおそれが出てくるのです。

さらに、相続には代襲相続という制度が認められています。簡単にいいますと、相続人である子がなくなった場合には、その子どもに相続権が移行するということです。

被相続人の直系の子どもには世代を問わず代襲相続の権利が認められます。さらに被相続人の兄弟の子ども(被相続人の甥、姪)についても代襲相続の権利があるのです。ただし、こちらについては、甥、姪までとされています。

このように、世代をこえて相続の権利は続くので、遺産分割協議を行わないでいると、相続人の人数が増えていきます。それだけではなく、相続開始時点の相続人からすると面識のない相続人が登場する可能性があります。結果、遺産分割協議がさらに困難なものとなるおそれがあるのです。

  • 相続手続きをスムースに行うため

相続手続きをスムースに行うためにも遺産分割協議を行う必要があります。

相続に伴う手続きを行う際には遺産分割協議の内容を書面にした遺産分割協議書が必要となります。

不動産の名義変更手続きは遺産分割協議書がなければ行うことができませんし、預貯金の名義変更についても遺産分割協議書を提示するように求められることがあるからです。

遺産分割協議の手順

ここでは遺産分割協議の手順について解説します。

相続人の確定

まず、相続人の範囲を確定しなければなりません。遺産分割協議は法定相続人全員が参加して行わなければならないとされており、一人でも欠けていた場合には、その分割協議は無効とされてしまいます。

そのため、被相続人の出世から死亡までの戸籍謄本を辿って相続人を確定する必要があるのです。

相続財産の確定

相続人の範囲の確定と同時に行わなければならないのが、相続財産の調査です。

もしも、遺産分割協議の際に漏れていた財産があった場合には、その財産について再度遺産分割協議を行わなければならない可能性があるからです。

 相続財産の調査は不動産の全部証明書の取り付けや預金通帳の記帳内容の確認、さらには金融機関への照会などによって行います。

注意するべきは、生命保険の保険金の取り扱いです。生命保険の保険金受取人が指定されている場合、保険金は指定された人の財産となりるので遺産分割協議に影響を与えることはありません。しかし、保険金受取人が指定されていない場合、保険金は相続人の共有財産となって、遺産分割協議の対象となるからです。

相続財産の調査で必要なのは、被相続人あてに通知を送付してきた金融機関へは残らず照会をかける、ということです。相続財産にはプラスの財産だけではなく、マイナスの財産(借金)も含まれるので、被相続人が関係していた金融機関との取り引き内容を調べる必要があるのです。

相続人同士での遺産分割協議

相続人と相続財産の範囲の確定が終わった後に、相続人同士で遺産分割協議を行います。遺産の分割方法については特に決まっていることはありません。相続人の間で同意ができたのであれば、どのような内容でも問題はないのです。

遺産分割協議書の作成

遺産分割について相続人の間で同意できれば、その内容を文書にします。これを遺産分割協議書と呼びます。

後日、内容について争いが生じないように、誰がどの財産を相続したのかが明確にわかるように記載します。

不動産であれば、登記簿の表題部分をそのまま記載し、預貯金であれば、金融機関の名称、支店名、口座番号まで記載することが必要です。

作成した遺産分割協議書には相続人全員が署名押印しますが、その際には実印を押し、印鑑証明書を添付します。署名押印については全員が同じ場所に集まって行う必要はありません。郵送によって持ち回りで行うことも可能です。

なお、遺産分割協議書と印鑑証明書は相続人の人数分を揃え、各自が1通ずつ持つのが一般的です。

遺産分割協議が進まない場合の分割方法

遺産分割協議は相続人同士の話し合いによって進められます。何事もなく話し合いが済むのであればよいのですが、遺産の分割内容について争いがある場合には中立の立場にある公的機関を間に入れることが行われています。それが家庭裁判所の調停制度の利用です。

以下では、家庭裁判所の調停制度とそれが不調に終わった際の審判手続きについて解説します。

遺産分割調停の申し立て

遺産分割協議が相続人同士の話し合いではまとまらない場合には、家庭裁判所の調停制度の利用を検討するのがよいでしょう。

家庭裁判所の調停制度とは複数の調停人で構成される調停委員会と家事審判官(家庭裁判所の裁判官)によって行われ、中立の立場で相続人双方の主張を基に調停案を提示するものです。

あくまでも、調停案の呈示であり、それを受け入れるか否かについては、相続人の意思に任されています。

調停の進め方は次の通りです。

調停の申立てをすると、家庭裁判所から調停の日時が示されますので、申立人、相手方双方がその時間に家庭裁判所に出向き、調停にのぞみます。

まず、申立人が調停委員に対して、遺産分割の主張をします。その主張を聞いた調停委員が相手方にその内容を伝え、それに対する考えを聞くのです。

このように調停委員が相続人双方の意見を聞く形で調停は進められます。相続人双方が直接対峙して主張をぶつけ合うことはありません。調停委員を介してのやり取りとなるのです。

1度の調停で話し合いがつかない場合には、複数回にわたって調停が行われます。それでも、話し合いがつかない時には審判の手続きに移行することとなります。審判への移行は自動的に行われますので、そのための手続きを行う必要はありません。

審判への移行

調停による解決が不調に終わった場合、自動的に審判手続きへと移行することとなります。

審判とは、裁判官によって判断が示されることをいいます。裁判における判決と同じです。

審判が出されると、その時点で手続きは終了し、審判の内容にしたがって遺産分割の手続きが開始されることとなります。

もしも、審判の内容に不服がある場合には高等裁判所に即時抗告をすることができます。それでも、納得できない場合、高等裁判所に特別抗告や許可抗告を行い、最高裁判所に判断してもらうことができるようになります。

しかし、特別抗告や許可抗告は高等裁判所が、相続人の訴えに理由があると認めた場合に行うことができる手続きです。そのため、必ずしも訴えが認められるとは限りません。

遺産分割協議の注意点

遺産分割協議を行うにあたっては、守らなければならない注意点がいくつかあります。

相続人全員の合意が必要

遺産分割協議が成立するためには相続人全員の同意が必要となります。相続人調査のため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を辿っていくなかで、たとえ見知らぬ人物が登場したとしても、その人物を除外した遺産分割協議は無効となるのです。

相続人の中に未成年がいる場合の扱い

相続人の中に未成年がいる場合には、家庭裁判所に対してその人を代理して遺産分割協議を行う特別代理人を選任してもらうための申し立てを行います。

たとえば、父親が若くしてなくなり、母親と未成年の子どもが相続人となった場合などには、未成年の子どもを代理して遺産分割協議を行う特別代理人が必要となります。

 

母親は子どもの親権者ですが、遺産分割協議の中では互いに相反する利益をもつ利益相反者とされます。そのため、母親は子どもを代理することができず、特別代理人の選任が必要となるのです。

特別代理人は相続に際して利害関係を持たない成人であれば誰でもなることができます。

相続人の中に認識能力が低下している人がいる場合の扱い

相続人の中に認識能力が低下している人がいる場合には、能力の低下の度合いにもよりますが、家庭裁判所に対して後見人選任の申し立てを行うことが必要です。

相続人の認識能力が低下しているからという理由で、その相続人を除外した遺産分割協議は認められません。

なお、後見人を交えた遺産分割協議では、原則として被後見人(認識能力が低下した相続人)が不利益になる協議を行うことは難しく、法定相続分通りの分割が行われることが多いようです。

相続人の中に海外に居住している人がいる場合の扱い

相続人の中に海外に居住している人がいる場合、遺産分割協議書の作成の段階で必要となる書類が日本とは異なるので注意が必要です。

海外に居住している場合には、日本の印鑑証明書にあたる書類がないので、それに代わるものとしてサイン証明が必要となります。

また、その相続人が海外の一定の地域に住んでいることを証明する在留証明書も必要です。たとえば、アメリカのワシントンDCに住んでいることを証明する書類が在留証明書となります。

サイン証明、在留証明ともに海外の日本大使館、総領事館で発行してもらうことができます。

遺産分割協議書を作成した後で遺言状が見つかった場合

遺産分割協議書を作成した後で、遺言状が見つかった場合、基本的にその遺産分割協議は無効となります。

遺言状はなくなった被相続人の意思を形にしたものであり、相続に際しては最大限尊重されなければならないからです。

そのため、遺言状記載の内容で相続手続きを行うこととなります。

しかし、相続人全員が遺産分割協議書に記載した内容での相続を希望した場合には、遺言状記載の内容での相続を行わなくともよいとされています。このような場合には、遺言状の内容よりも相続人全員の一致した意思が尊重されるわけです。

遺言状が見つかった後で、相続人のなかから遺産分割協議に異議がでた場合、基本的に遺言状の内容に沿った形で、再度分割協議を行うこととなります。


遺言状のなかに遺言執行者が指定されていた場合には、これまで解説してきた内容とは異なった対応が必要になります。

遺言執行者とは、遺言状に記載された内容を実現するための権限を持つ人のことです。たとえ相続人であっても遺言執行者が遺言内容を実現するための行動を妨げることはできません。

そのため、遺産分割協議が終了した後に遺言状が見つかり、その中で遺言執行者が指定されていた場合には、相続については遺言執行者の指示に従わなければならないのです。

遺言執行者が遺産分割協議の内容を認めれば、再度の協議を行う必要はありません。しかし、遺言状の中に、相続人の排除や子どもの認知といった事項が含まれていた場合、基本的に相続人間で行った遺産分割協議は次の理由から無効となる可能性が高くなります。

  1. 生前の被相続人に対して虐待などの行為を行った相続人については、遺言状で相続人から排除する手続きを行うことが認められています。これを相続人の排除と呼び、家庭裁判所に手続きを行うこととなります。家庭裁判所で相続人排除の請求が認められた場合には、その相続人を交えて行われた遺産分割協議は無効となります。認められない場合には、遺言執行者の判断によることとなります。
  2. 遺言状に子どもの認知を行う記述があった場合には、その子どもの認知手続きを行わなければなりません。そうすると、相続人の人数が増えることとなるので、既に行った遺産分割協議は無効となります。

なお、相続人の排除や子どもの認知の手続きは、遺言執行者が行います。

そのため、相続人の排除や子どもの認知といった記述がある遺言状に遺言執行者の記載がない場合には、家庭裁判所に対して遺言執行者の選任を求めなければなりません。

 

 

遺産分割協議書を作成した後で新たな相続財産が見つかった場合

遺産分割協議書を作成した後に、新たな相続財産が見つかった場合、既に行った遺産分割協議は有効です。しかし、新たに見つかった相続財産のついての分割協議は行わなければなりません。

また、新たに見つかった相続財産の額が大きかったり、その財産があるのだったら、遺産分割協議に賛成しなかったという相続人がいた場合には、再度、遺産分割協議をやり直すこととなります。

そうはいっても、遺産分割協議を再度やり直すのは大変です。そこで、新たな相続財産が見つかった場合には、特定の相続人の所有とするとした事項を遺産分割協議書に記載しておくということも行われています。この点については、すべての相続人が同意しているのであれば、問題はありません。

まとめ

遺産分割協議の必要性とその手順、さらに注意点について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

相続が開始したら、相続人と相続財産、さらに遺言状の有無の確認を早めに行いましょう。遺産分割協議は時として大変な労力を使う可能性があります。遺産分割協議を少しでもスムースに行うためにこれらの事項の確認は必須です。

遺産分割協議でお困りのことがあれば、当事務所にご相談ください。当事務所では皆様の悩みに寄り添い最後まで面倒をみさせて頂きます。案件によっては、弁護士、司法書士、税理士、成年後見のNPO法人とのネットワークを活かして皆様のお役に立たせて頂きます。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せはこちら

03-5762-0018
営業時間
9:00~18:00
定休日
土曜・日曜・祝日

お問合せはこちら

お電話でのお問合せはこちら

03-5762-0018

メールでのお問合せは24時間受け付けております。お気軽にご連絡ください。