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遅延損害金と期限の利益喪失条項の関係について

個人間で金銭の貸し借りをする際、利息の問題とともに貸した(あるいは借りた)お金の返済が遅れたときにはどうすればいいのか、ということを不安に思う方は多いことでしょう。

即時に全額の返済が義務付けられているのか否か、それとも他に方法があるのか、というのがここで考えるべき問題です。

実は、遅延損害金と期限の利益喪失条項はこのような状況になったときのルールを定めたものとなります。

契約書中に期限の利益喪失条項についての記載があるか否かによって、遅延損害金の取り扱いが違ってくるからです。

ここでは、遅延損害金と期限の利益喪失条項の関係についてくわしく解説していきます。

遅延損害金とは何か?

遅延損害金とは、金銭消費貸借契約で決められた返済日に借りたお金を返すことができなかったときに、返済しなければならない金額について生じた損害金のことをいいます。

遅延損害金は金銭消費貸借契約書に記載がなくても発生します。また、返済をしないことで債権者に損害が生じなくても支払わなければなりません。

たとえば、100万円を借りて、5年後に返済するという契約をむすんだとしましょう。このとき、約束の5年後に60万円は返済できたが、残りの40万円は返済できなかったとすると、遅延損害金は残金の40万円に対してかかることとなるのです。

遅延損害金は次の式で算出されます。

遅延損害金=借入残高×遅延損害金利率×遅延日数÷365日

遅延損害金利率とは、遅延損害金に対して適用される利率のことで、個人間での契約と貸金業者(銀行やクレジットカード会社などの金融機関)との間の契約とで異なっています。

個人間の金銭消費貸借契約に適用される遅延損害金利率は次の表に示すとおりです。

借入残高(元本額) 遅延損害金の上限利率
10万円未満  年29.2%
10万円以上100万円未満 年26.28%
100万円以上 年21.9%

債権者が貸金業者(銀行やクレジットカード会社などの金融機関)の場合、借入残高に関わりなく、遅延損害金の上限利率は年20%です。

遅延損害金利率は、上限利率を超えない範囲で自由に決めることができますが、上限利率を超えた分についてはすべて無効となります。また、利率をきめなかったときや、遅延損害金について金銭消費貸借契約書に記載しなかったときには法定利率の3%となります。

また、遅延日数とは、返済が遅れた金額すべてを支払うのにかかった日数のことです。たとえば、支払い期日から30日遅れて返済した場合、30日が遅延日数となります。

なお、遅延損害金の起算日は金銭消費貸借契約書に定めた返済期日の翌日からとなります。

遅延損害金計算例

借入残高が40万円で、30日遅れて返済したときの遅延損害金は次のようになります。なお、遅延損害金利率は20%とします。

400,000(借入残高)×0.2(遅延損害金利率)×30(遅延日数)÷365=6,575円

遅延損害金と利息との関係

遅延損害金と利息とは別のものです。遅延損害金は期日までに返済されなかったことに対するペナルティーとして課されるものであり、貸したお金の使用料として発生する利息とは違うからです。

そのため、返済金に遅延損害金を加えて支払う場合には、利息は返済金の中に含まれます。返済金と遅延損害金とを合わせた金額に利息が付く、ということはありません。

期限の利益喪失条項とは何か?

期限の利益喪失条項とは、特定の事項が債務者に発生したときに残金のすべてを一括して支払わなければならないとする金銭消費貸借契約書中に記載された条項のことをいいます。

期限の利益とは、返済期日がくるまでは借りたお金を返さなくてもよい、というものです。たとえば、返済期日より前に債権者がお金を返してくれ、と要求してきたとしても、債務者はそれに応ずる必要はありません。

仮に、借りたお金を分割で返済するとしたときは、債権者が一度に請求できるのは分割した部分の金額だけです。この場合、返済額は期日ごとに決まっているので、それ以上の請求はできないからです。

しかし、これでは返済が滞ったときに債権者にとって不利な状況となります。そこで、金銭消費貸借契約書に特定の事由が発生して返済ができなくなったときには、債務者は残金を一括して支払わなければならないという条項を入れることで、この問題を解消することが行われています。

この条項を期限の利益喪失条項と呼ぶのです。

この条項で定める特定の事由には主に次のものがあります。

  • 債務者が返済を怠ったとき(回数は決まっていないので、当事者同士の相談による)
  • 債務者の競売、破産、民事再生手続きの申立があったとき
  • 債務者に租税の滞納処分があったとき
  • 債務者が債権者に通知しないで住所を移転したとき

期限の利益喪失条項が金銭消費貸借契約書に入っていて、条項の定まる特定の事由に該当したときには、債務者は残金を一括して支払わなければならないのです。

遅延損害金と期限の利益喪失条項との関係

分割払いの場合、遅延損害金の額は、金銭消費貸借契約書に期限の利益喪失条項が入っているか否かによって違ってきます。

期限の利益喪失条項が入っていない場合には、債権者が請求できるのは分割払い期日までの金額にかかる遅延損害金です。仮に40万円を貸して毎月の返済額を5万円とすると、債権者が請求できる遅延損害金の額は5万円に対するものとなります。

遅延損害金利率を20%として、返済期日から20日後に返済されたときに請求できる遅延損害金は、

50,000円(借入残高)×0.2(遅延損害金利率)×20(遅延日数)÷365=547円

です。

これに対して、期限の利益喪失条項が入っている場合には、債権者は貸金の残額を一括で請求できます。残額を30万円として、返済期日から20日後に返済されたとすると、請求できる遅延損害金は、

300,000円(残高)×0.2(遅延損害金利率)×20(遅延日数)÷365=3,287円

となります。

ここからわかるように、期限の利益喪失条項の有無によって遅延損害金の額も変わってくるのです。

まとめ

遅延損害金と期限の利益喪失条項について解説してきました。

期限の利益喪失条項は債務者に返済を促すための有効な手段であるばかりではなく、遅延損害金の額にも影響します。

また、遅延損害金は契約時に定めた利率が適用されます。利率を決めなかったときに適用されるのは、法定利息である3%です。遅延損害金は返済が滞った際のペナルティ-といった側面があるため、債権者にすればその利率では低いのではないか、と考える方もいるかもしれません。

そのためにも、金銭消費貸借契約書を作成するときには、遅延損害金と期限の利益喪失条項を入れることが必要となります。

当事務所では、金銭消費貸借契約書の作成、相談を受け付けております。金銭消費貸借契約をご検討中の皆様、ご相談をお待ちしております。

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