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友人同士でお金の貸し借りをした際、口約束のみで借用書や金銭消費貸借契約書といった書面を作らなかった、という方は多いと思います。信用できる友人だから、相手が契約書を作るのをいやがったから、など理由は様々でしょう。
しかし、口約束だけの場合、もしもトラブルになったときに貸したお金を返してくれるよう相手に請求できるのでしょうか。
実は口約束だけでの借金であっても、金銭消費貸借契約は成立します。金銭の貸し借りが実際に行われた場合には借用書や金銭消費貸借契約書などがなくても、相手に対して貸した金額を返すように請求することができるのです。このような口約束による契約は諾性的消費貸借契約と呼ばれます。
それでは、実際にお金を貸す前に金銭貸借の約束を口頭だけで行ったときはどうでしょうか。借金を申し込まれて、口頭で貸す約束をしたけれど、まだお金は渡していない、という場合です。
この場合はお金のやり取りが行われていないため、契約は成立しません。諾性的消費貸借契約が成立するためには、貸し借りを行う物(この場合には金銭)が当事者の間で受け渡されていることが必要だからです。
ただし、口頭ではなく、金銭消費貸借契約書などの書面による場合には金銭の貸し借りが実際に行われていなくても契約が成立します。
金銭消費貸借契約は口約束で成立する場合と成立しない場合とにわかれます。
具体的には次の通りです。
既に金銭を貸しているのであれば、口約束で金銭消費貸借契約は成立します。
民法第587条には次のように定められています。
「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」
すなわち、消費貸借の対象となる物(この場合には金銭)の貸し借りが現実に行われていることを条件に口約束でも契約が成立するとしているのです。
しかし、金銭を貸す前であれば、口約束による金銭消費貸借契約は成立しません。民法第587条の2第1項には、実際に金銭の貸し借りが行われる前の金銭消費貸借契約は書面によるのでなければ成立しないと定められているからです。
借り手の立場からいうと、約束をしたからといって、実際に金銭の授受が行われていなければ契約は成立せず、相手に履行を迫ることはできません。
一方で貸し手の立場からいうと、金銭消費貸借契約書が作成される前であれば、金銭を貸す必要はありません。しかし、次のような点に注意が必要です。
民法第587条の2では4項で書面には「電磁的記録」を含むとしています。たとえば、貸す金額がまだ明確になっていないにも関わらず、電子メールなどでそれに類した内容のやり取りをしてしまったときに、契約が成立してしまうといったおそれがあるのです。契約が成立してしまうと貸主はその意思に反した金銭の貸し出しを行わなければならなくなる可能性があります。
既に金銭の貸し借りが行われている場合には口約束でも契約の効力には問題はありません。
一方、金銭の貸し借りを行う前では、書面によらなければ契約の効力は認められません。しかし、ここでいう書面には紙に書かれたものだけではなく、SMSやLINEといった電子上に記載されたものも含みます。書面の取り扱いには注意する必要があるでしょう。
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