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知っておきたい生前贈与の基礎知識

財産を相続させる際に注意したいのは相続税との関係です。相続税の非課税枠が縮小したことにより、今まで相続税とは無縁だと考えていた人であっても、対策の検討が求められるようになってきたからです。

また、たとえば、親が子どもに財産を譲る場合には遺言状を利用することが一般的です。ただし、遺言状が効力を発揮するのは、親がなくなった後ですから、親としては財産が問題なく譲られたことを自分の目で確認することはできません。

相続財産についてはこのような問題が考えられますが、いずれの場合でも、生前に財産を譲ってしまうことで、相続税の軽減や財産の状況の確認を行うことが可能となります。これを生前贈与と呼びます。

しかし、生前贈与には注意するべき点がいくつかあり、やり方を間違えると損をしてしまうことがあります。

ここでは、そんな生前贈与について解説していきます。

生前贈与とは

生前贈与とは、生前に財産を無償で他人に譲ることをいいます。

たとえば、親が生きている間に、子どもに無償で財産を贈与することがこれにあたります。

贈与する相手は子どもだけに限りません。配偶者でもまったくの第三者でもかまいません。法人に対する贈与も可能です。遺言状と同じですね。

贈与できる財産にも基本的に制限はありません。現金や預貯金はもとより、株式、土地などあらゆる財産を贈与の対象とすることができます。

問題は、贈与した財産に対して贈与税がかかることと、相続が発生した場合には、贈与した財産が相続税の対象となる可能性があることです。また、相続手続きを行っていくうえで、遺留分や贈与した財産の持ち戻しといった問題が生じる可能性もあります。

そのため、生前贈与を行う際には、これらの点について注意することが必要です。

生前贈与の注意点

生前贈与を行う場合に注意しなければならないのは、次の3点です。

  • 生前贈与した財産は贈与税、相続税の対象となる
  • 生前贈与した財産は遺留分侵害額請求権の対象となる
  • 生前贈与した財産は持ち戻しの対象となる

生前贈与した財産は贈与税、相続税の対象となる

贈与した財産は贈与税と相続税の対象となります。

贈与税

贈与税は、財産の贈与を受けた人が、贈与された年の翌年の2月1日から3月15日までに申告と納税を行うものとされています。

ただし、贈与税には次のような非課税枠が認められており、その範囲内の贈与であれば、贈与税はかかりません。そのため、生前贈与を行う場合には、贈与税の非課税枠に注意することが必要です。

暦年贈与 

贈与額が年間110万円以内の場合には、その金額までは非課税となります。

夫婦間での配偶者控除 

婚姻歴20年以上の夫婦間で、配偶者に自宅もしくは住宅購入資金を贈与する場合には、2,000万円までは非課税となります。

住宅取得資金の贈与税の非課税特例 

親、祖父母といった直系尊属から住宅資金を贈与された場合であって、それによって新築、取得、増改築される家屋について一定の要件を満たす場合には、非課税となる特例が認められています。

具体的には、次の通りです。

建築年が令和4年1月1日から令和5年12月31日までに取得、新築、増改築をした家屋について

省エネ住宅もしくは耐震住宅の場合の非課税枠 : 1,000万円

上記以外の一般住宅の場合の非課税枠     :     500万円

相続税

相続税は、相続が発生した場合に相続財産に対して課税される税のことです。生前贈与された財産がある場合には、相続が開始される3年前までに贈与された財産が、相続税の課税対象となります。

:令和6年1月1日以降は、相続税の課税対象となる贈与財産が相続開始の7年前からに延長されます)

たとえば、親がなくなる3年前までに贈与された財産は、相続財産のひとつとしてみなされます。注意しなければならないのは、このときに贈与された財産が贈与税の非課税額である110万円以下であったとしても、相続財産とされる点です。

その金額は、親がなくなった時点での相続財産に加算され、その合計額が相続税の控除額より大きくなった場合に相続税の対象となるのです。

この場合、すでに支払った贈与税がある場合には、その金額は相続税から差し引かれるので、税金を二重に支払うことがないようになっています。

言い換えると、相続が開始する3年前よりも前に贈与された財産は、相続財産に加算されず、基本的に相続税の対象とはならないこととなります。

ただし、相続時精算課税制度を利用した場合には、相続が開始される3年以上前に贈与を受けていたとしても、その贈与額は相続財産として加算されてしまいます。

すなわち、相続時精算課税制度を利用して、2,500万円までの贈与税の控除を受けた場合には、贈与の時期に関係なく、相続の際に、その金額が相続財産に加算されて相続税の対象となってしまうので注意が必要です。

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子どもまたは孫に対して財産を贈与した場合に2,500万円までは贈与税が非課税となる制度のことです。

この制度では、贈与税は2,500万円を限度に非課税となりますが、相続の際には贈与税の非課税分の財産は相続財産として相続税の対象となります。

言い換えれば、2,500万円までの贈与には贈与税はかかりませんが、相続が開始すると、贈与された金額が相続財産に組み込まれ、トータルで相続税の非課税枠を超えた場合に相続税の対象となるわけです。

この制度を利用した場合には年間110万円までの贈与税の非課税枠(暦年課税制度)の利用はできず、また、途中で暦年課税制度に変更することもできません。

利用にあたっては注意が必要です。

なお、相続時精算課税制度を利用した贈与金額が非課税枠を超えた場合には、超えた分の金額に対して一律で20%の贈与税を支払うこととなります。その場合、支払った贈与税は相続の際に支払う相続税から控除されます。

生前贈与した財産は遺留分侵害額請求権の対象となる

生前贈与した財産は、相続にあたって遺留分侵害額請求の対象となる場合とならない場合とにわけられます。

遺留分とは、被相続人の配偶者、子ども、親が受け取ることを最低限認められている相続財産の割合のことです。被相続人の配偶者、子ども、親は相続の際に自らの遺留分が侵害されていることを知った場合には、侵害された遺留分を取り返すことができます。この権利を遺留分侵害額請求権と呼びます。

生前贈与した財産は、贈与の時期や内容、さらに他の相続人に対する影響の違いによって遺留分侵害額請求権の対象となる場合とならない場合とに分けられるのです。

生前贈与された財産が遺留分侵害額請求権の対象となるのは次の3つの場合です。

1 生前贈与が、相続開始前1年以内に行われた場合

(相続人以外の第三者に生前贈与された場合の規程です。相続人に生前贈与された場合には、令和1年7月から、相続開始10年前に行われた生前贈与についてのみ、遺留分侵害額請求の対象となります)

2 生前贈与を受けた人と贈与をした人双方が、生前贈与によって他の相続人の遺留分を侵害   することを知っていた場合

3 生前贈与の内容が、生計の資本などの特別受益となる場合

(特別受益は民法903条1項に「遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として」受けた贈与と規定されています。遺贈によるものは特別受益とされていますが、生前贈与された婚姻、養子縁組、生計の資本についての具体的な内容は明確ではありません。ケースによって異なる、というのが現状です。)

 

なお、遺留分侵害請求権は、相続が開始されて遺留分の侵害があることを知った時から1年間行使しないと、時効によって消滅します。

また、侵害があることを知らなくても、相続が開始されて10年間たった時には時効によって消滅するとされています。



 

生前贈与した財産は持ち戻しの対象となる

生前贈与された財産は持ち戻しの対象となり、遺産分割協議の際、相続財産に加算されます。

持ち戻しとは、被相続人が生前に贈与した財産のなかで、特別受益とされるものについては、遺産分割協議の際に、相続財産に加算する、というものです。通常、特別受益の持ち戻し、と呼ばれています。

たとえば、被相続人である父親が、3人兄弟の長男に生活費として500万円を生前贈与したとします。この場合の500万円を長男に対する特別受益と考えると、次のようになります。すなわち、父親がなくなって相続が開始すると、長男が生前贈与された500万円は、父親の相続財産に加算されたうえで遺産分割協議を行うこととなるのです。これを特別受益の持ち戻しと呼びます。

生前贈与された財産のうち、婚姻、養子縁組、生計の資本については特別受益とされる可能性があります。そのため、生前贈与された財産が遺産分割協議の際に持ち戻しの対象となる可能性は高く、注意が必要です。

ただし、遺言状で、生前に贈与した分を相続財産に加算しないとすることができます。これを持ち戻し免除と呼びます。

生前贈与した財産については、相続財産に加算され、それをもとに遺産分割協議が行われることとなります。しかし、被相続人が、特定の相続人に、より多くの財産を相続させたい時には、遺言状に持ち戻し免除の記載をすることで、生前贈与した財産を遺産分割協議の対象からはずすことができるのです。

しかし、この方法によっても遺留分を侵害することはできません。持ち戻し免除をしたからといっても、それが他の相続人の遺留分を侵害しており、遺留分侵害請求権を行使された場合には、その分の対価を支払う必要があります。

(令和1年7月より、遺留分の対価は金銭によるものとされました。たとえば、土地などの不動産の遺留分が侵害されている場合には、これまでは、その土地の名義については、遺留分を侵害された相続人との共有にする、ということが行われていました。しかし、民法の改正によって、不動産についても、侵害されている遺留分に見合った金額を支払うこととされたのです)

生前贈与の時期について

生前贈与を行う時期について、令和1年7月から施行される改正民法では、相続が開始される10年前までに行われた贈与については、遺留分侵害請求の対象とすると定めました。

すなわち、相続が開始した10年以上前に行われた生前贈与については、遺留分侵害請求の対象にしない、ということとされたのです。生前贈与による財産承継の幅が広がったといえるでしょう。

まとめ

生前贈与は、贈与税、相続税を軽減する対策として、また、財産を譲りたい特定の相続人もしくは第三者がいる場合に有効です。

しかし、利用にあたっては、非課税枠や遺留分に注意する必要があります。

行政書士は、税務相談に応じることができないため、非課税枠等税金については、税理士にご相談ください。その他の遺留分や持ち戻し免除などについてのご相談は、行政書士である当事務所におまかせください。

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